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前科とは

前科とは

「前科」という言葉は、法律上の用語ではありません。
一般に、確定判決で刑の言渡しを受けたことをいい、罰金以上の刑になった場合にいわゆる前科が付くことになります。

前科には2つの意味があります。
①法律上の前科

刑事事件で前科がつくと、本籍のある地方自治体が管理する犯罪人名簿に一定期間記載されます。
これは、一定の職につく資格又は選挙権・被選挙権の有無の調査・確認のためのものです。
法律上の前科については、たとえば執行猶予判決を下された場合、執行猶予期間を無事に過ごせば懲役刑の言渡しが効力を失う結果、前科はなくなります。実際に刑務所に服役しても、刑法の規定により刑期の満了から10年間、罰金以上の刑に処せられないで過ごせば、刑の言渡しが効力を失うので前科はなくなります。この結果、一定期間内に禁錮以上の刑に処せられたことなどを理由とする執行猶予の欠格事由や職業上の欠格事由としての前科にはこれ以降、当たらないことになります。

②事実上の前科

罰金以上の刑に処せられた場合は、前科調書に記載され検察庁にも保存されます。これが日常用語でいうところの前科です。
過去に刑事事件で有罪判決を受けたという歴史的事実はずっと残りますので、前科の有無は量刑に影響し、同じ犯罪でも初犯に対する求刑よりも2回目以降に対する求刑は徐々に重くなりますし、判決も重くなります。もっとも前科調書の照会は検察官又は検察事務官に限られ(犯歴事務規定13条)、一般の方がアクセスすることはできません。

前科は一生残りますか?

①法律上の前科

記載される期間については、刑の執行を終わり、またはその執行の免除を得てから、罰金以下の刑(罰金・拘留・科料)の場合は5年、禁錮以上(死刑・懲役・禁錮)の場合は10年、罰金以上の刑に処せられずに経過すると刑の言渡しは効力を失い(刑法34条の2)、犯罪人名簿からも削除されます。
また、恩赦・特赦によっても刑の言渡しの効力が失われ(恩赦法3条、5条)、犯罪人名簿から削除されます。

②事実上の前科

検察庁では本人が死亡するまで保存されます(犯歴事務規定18条)。

⇒刑事事件で前科がつかないようにするためには、ずばり不起訴処分を目指しましょう!

即決裁判であれば前科にならないか?

即決裁判は期日が1日のみで簡潔に済む裁判ですが、罰金刑以上の刑が科せられますので前科がつきます
身柄事件では、延長をせずに積極的に即決裁判を用いて罰金にする検事もいます。
示談の可能性のある刑事事件であったのに、弁護士との打合せを十分に行わず、検事から即決裁判に同意するよう求められたのでサインしたということがないように注意しましょう。
もちろん、刑事事件で前科が付くことの不利益よりも身体拘束が長引くことの不利益の方が自分にとっては損失が大きいと判断した場合には、前科の不利益を被って即決裁判で終わらせるのもよいと思います。
自分にとって何が最も重要か、よく考えましょう。

過去には複数回、身柄拘束が長くなっても前科が付かないことを最優先にしたいという依頼者のために、検事に働きかけ、勾留延長をせずに罰金にできるところを、あえて勾留延長してもらい、その間に示談を成立させ、不起訴処分としています。
これによってこの依頼者は前科をつけずに社会復帰を果たしました

*あなたが犯人だという証拠が、被害者の供述しかない場合

満員電車内での痴漢事件のように、通常よりも、勘違いによって冤罪を引き起こしやすいおそれのある刑事事件では、被疑者と犯人を結び付ける直接的な証拠が被害者の供述しかない場合には、被害者の供述の信用性を相当詳細かつ多角的に分析検討する必要があり、被害者の供述が、被害者において人違いをした可能性がないといえるほど高度の信用性を有するものでなければならないとする裁判例があります。
大阪地判平成12年10月19日では、被害者の証言態度がなげやりなこと、被疑者を犯人と特定する十分な根拠がないこと、重要部分に供述の変性があることなどを総合して、信用性を否定しました。
被害者の供述以外に証拠がない場合には争うことで前科の不利益を回避できるかもしれません。ただし、長期の身体拘束は覚悟すべきですし、本当に警察官・検察官が押さえている証拠が被害者供述だけなのか否かは判明しにくいものです。リスクは覚悟すべきでしょう。

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