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起訴された場合

起訴された場合

刑事事件で起訴された後も引き続き勾留される場合、保釈が認められなければさらに数か月の身柄拘束が継続することもあります。

刑事事件における長期間の勾留により、労務の不提供が一定期間継続することが明らかである場合は、一般的に就業規則の定めに従って起訴休職の取り扱いとします。

起訴休職

起訴休職とは、
刑事事件に関し起訴された者を一定期間又は判決確定までの間休職とするもので、企業の社会的信用の維持や、職場秩序の維持、懲戒又は解雇などの処分の留保又は猶予等の趣旨が混在したものです。

起訴休職については通常制度化しているわけではなく、その休職が必要なときは、休職の一般規定である「企業が必要と認めた場合の休職」で対応するようです。

休職期間中の賃金

起訴休職期間中については、ほとんどの私企業が無給としています。
公務員の場合は100%ではありませんが、一定の金額の保障があることが多いようです。

休職期間中の賞与

賞与の対象となる査定期間が起訴休職期間中であれば、無給と評価されるのが通常です。

起訴休職の要件

起訴休職は、労働者の意思にかかわらず発令すること、休職期間中賃金が100%保障されるものではない(私企業では無給が多い)こと等、労働者が不利益を負う性格上、休職命令の発令には一定の合理的制限がされています。

使用者が起訴休職を命令するための要件

【1】 労働者が刑事事件で起訴されたこと

【2】 以下のいずれかの理由

①企業の対外的信用の維持
②職場秩序の維持
③不安定な労務提供によって業務に支障が生じることの防止

【3】 無給休職の場合、労働者の不利益と起訴の対象となった犯罪行為の軽重と比較して著しく均衡を欠かないこと

※身柄拘束されていない刑事事件(在宅起訴、もしくは保釈)については、
【2】③の要件を欠くため起訴休職の適用は慎重を要します。

起訴休職処分が無効とされた事例
①全日本空輸事件(東京地判平成11.2.15)

事案の概要

航空会社の機長が男女関係にあった元客室乗務員に傷害を負わせたとの被疑事実で逮捕・起訴、略式命令を受けたが正式裁判請求したので、その13日後に起訴を理由に無給休職処分とした事案。

判決内容

在宅で起訴され公判期日への出頭も有給休暇の取得により十分可能であって労務を継続的に給するに障害はなく、休職処分時点で略式命令から約1か月を経過し安全運行に影響を与える可能性(ストレス等の面)は認めらない。また、起訴事実が業務と無関係ないわゆる男女関係のもつれが原因で生じた偶発的なトラブルに伴う傷害であって、休職命令時点ではマスコミの取材、報道も途絶え、原告が引き続き就労することにより、被告(会社)の対外的信用失墜、職場秩序維持に対する障害及び労務の継続的な給付についての障害を生ずるおそれがあるとは認められない。
さらには、仮に有罪となった場合原告に付される可能性のある懲戒処分(出勤停止、減給)と比較して無給の本件休職処分は著しく均衡を欠くなどから、起訴休職処分を無効としました。

②山九事件(東京地判平成15.5.23)

事案の概要

物流会社の総合職が子会社に出向中、痴漢行為(条例違反)で逮捕。勾留後起訴され、保釈決定されたが、その決定の2日後に無給起訴休職とした事案。

判決内容

対外的折衝のない職場で女性従業員の少ない部門に配置換えすることも可能で、そのような配置なら対外的信用も害せず職場の混乱も避けられ、当該労働者の就労により業務に支障が生ずることもなかったとして、起訴休職処分を無効としました

起訴休職処分が有効とされた事例
①明治学園事件(福岡高判平成14.12.13)

事案の概要

私立中学校の社会科の教師が出入国管理法の不法就労あっせん罪で逮捕・勾留され、起訴された際に、無給の起訴休職処分とされた事案。

判決内容

まず、無給休職は、「休職によって被る被用者の不利益が極めて大きいから、その不利益の程度が起訴の対象となった犯罪行為の軽重と比較して著しく均衡を欠かないことをも要する」とした上で、本件において、教師は逮捕された後長期間勾留され、学園も捜索を受け、また、現職の教員が被疑者とされたことから大きく報道されたこともあって、学園は生徒の保護者や卒業生などから問い合わせを受けるなど学園の業務に大きな混乱が生じたであろうことは容易に推測することができる。さらに、教師は、社会科を担当する教員であったことを考えれば、学園が教師を職場に復帰させることが相当でないと判断したことには十分な合理性、相当性があり、また、教師が犯した本件犯罪行為は、懲戒解雇事由に該当する可能性があることも否定することができず、本件無給休職と起訴の対象となった行為が均衡を欠くものではなかったとして起訴休職処分を有効としました。

⇒職場秩序への支障や社会的な信用の失墜については、刑事事件の起訴事実の破廉恥性、業務との関連性、職場における地位などが重要な判断要素とされます。

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