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刑事事件発生Q&A

犯罪にはどのような種類がありますか?

大きく分けて国家に関する法益に対する罪、社会に関する法益に関する罪、個人的な法益に対する罪の3種類があります。

刑法の条文の並び順は、国家法益に対する罪から始まって、最後に個人法益に対する罪が来ています。刑法が制定されたのが古い時代で、国家法益を犯すことが非常に重罪であるという時代認識があったこともあり、このような順番になっているといわれます。

刑事事件の個人法益に対する罪は、殺人や傷害、過失傷害、堕胎、遺棄などの生命・身体に対する罪、逮捕・監禁、脅迫、強姦、強制わいせつ、住居侵入などの自由に対する罪、名誉棄損や業務妨害などの名誉・信用に対する罪、窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領、背任などの財産に対する罪などに分かれます。

実務上、殺人や強盗、放火、強姦の凶悪犯、暴行や傷害、脅迫、恐喝の粗暴犯、窃盗犯、詐欺や横領、背任、偽造の知能犯、賭博やわいせつの風俗犯交通業務上過失致死傷罪などの分類も用いられます。

検察官と警察官の違いは何ですか?

どちらも捜査機関ですが、刑事事件の一次的な捜査機能を警察が担います。

検察官も警察官も公務員です。検察も警察も捜査機関として対等で上下関係はないのですが、刑事事件を起訴したり不起訴にしたりという処分権限は検察官にしかないので、警察は事件の処分のために検察に刑事事件を送致する必要があります。捜査の内容については警察と検察は協力関係に立ちますが、警察には検察による指示や指揮に従う義務があります。
検察官は都市部では捜査部と公判部に分かれており、前者に所属する検察官が刑事事件の捜査段階での取り調べを担当し、後者に所属する検察官が刑事事件の裁判を担当します。

刑事事件の被疑者とは何ですか?

捜査機関から嫌疑を受けているが、起訴されていない者をいいます。

刑事事件の被疑者は正式に逮捕などをされていなくても、犯罪の嫌疑を受けて刑事事件の捜査の対象となっている段階で被疑者と呼ばれます。マスコミでは容疑者と呼ばれています。
これに対し、被害者、目撃者、重要な情報を持っている者は参考人と呼ばれます。参考人には、刑事事件における被疑者に要求されている黙秘権の告知が要求されていませんが、参考人が取り調べを受けるうちに被疑者になっていくこともありえます。重要参考人と呼ばれる者に至っては、実質的な被疑者です。この場合、どの段階で黙秘権告知をするべきか、議論のあるところです。

刑事事件における被告人とは何ですか?

公訴を提起された者のことです。

マスコミ用語では「被告」と呼ばれますが、刑事事件において正確には被告人のことです。これは字数を一字でも省略して紙面スペースを確保するためでしょうか。被告とは法律用語では、民事裁判で訴えられた当事者のことです。

起訴される前と後はどう違いますか?

起訴以前を捜査段階、起訴以降を公判段階といいます。

刑事事件では起訴されると被疑者は被告人と呼ばれます。
起訴後は例えば保釈が認められます。逆にいうと、起訴前の刑事事件の被疑者段階では保釈は認められません。弁護士としては、起訴前は勾留の阻止、勾留延長の阻止、勾留の執行停止、勾留の取消しという手段を選択していくことになります。
起訴前の逮捕勾留された被疑者は少なくとも取調室への同行を拒否できませんが、起訴後の被告人は一般的に、取り調べに付き合う義務がないと考えられています。
留置される場所は、起訴前は警察署の留置場である場合がほとんどですが、起訴後は拘置所に移管されることもあります。

私選弁護士と国選弁護士との違いは?

逮捕前や勾留前から選任できること、資力要件がないこと、自分で弁護士を選べることなどです。

刑事事件において逮捕前は国選弁護士がつきません。刑事事件を起こし逮捕されることが予想される場合に、弁護士に相談して刑事事件を委任したい場合は、私選弁護士を付けることになります。
被疑者国選は逮捕されただけでは利用できず、勾留段階になって初めて利用できます。
もっとも国選弁護士には資力要件があり、現金や預貯金の合計が50万円以上になる場合は、例外的な場合を除き、私選弁護士を選任することになります。
また国選弁護士と違い、私選弁護士は自分で頼みたい弁護士を選ぶことができます。

私選弁護士と当番弁護士との違いは?

当番弁護士も受任後は私選弁護士ですが、受任ルートが特殊です。

刑事事件においては逮捕前は当番弁護士に依頼できません。
刑事事件の逮捕・勾留中は1回だけ無料で当番弁護士に接見を依頼できます。その後も当番弁護士に事件を依頼する場合は、私選弁護士として委任することになります。

罰金刑を言い渡されると前科がつくと聞いたのですが、前科とは消えないものなのでしょうか?

前科には2つの意味があります。

前科というと、非常に気にされる方が多いようです。
刑事事件を起こし、罰金以上の刑に処せられた場合は、前科調書に記載されます。これが日常用語でいうところの前科です。過去に有罪判決を受けたという歴史的事実はずっと残りますので、検察庁の管理する前科調書には本人が死亡するまで名前が残ります。刑事事件における前科の有無は量刑に影響し、同じ犯罪でも初犯に対する求刑よりも2回目以降に対する求刑は徐々に重くなりますし、判決も重くなります。もっとも前科調書に一般の方がアクセスできることはないので、プライバシーの観点からは気にしなくても大丈夫です。前科が戸籍や住民票、住民基本台帳などに記載されることはありません。
これに対して法律上の前科というと、たとえば刑事事件を起こし執行猶予判決を下された場合、執行猶予期間を無事に過ごせば懲役刑の言い渡しが効力を失う結果、前科はなくなります。実際に刑務所に服役しても、刑法の規定により刑期の満了から10年間、罰金以上の刑に処せられないで過ごせば、刑の言い渡しが効力を失うので前科はなくなります。この結果、一定期間内に禁錮以上の刑に処せられたことなどを理由とする執行猶予の欠格事由職業上の欠格事由としての前科にはこれ以降、当たらないことになります。
なお、刑事事件において罰金以上の有罪判決が確定すると、検察庁が犯罪者の戸籍のある自治体に既決犯罪通知書を送付し、犯罪人名簿が作成されます。これは法律上の前科と同じく、刑が消滅すれば記載が削除されます

前科と前歴はどう違うのですか?

前歴は犯罪歴のことで、有罪判決を受けたことだけではなく、逮捕、書類送検、微罪処分などを含みます。

ほかに補導歴は犯罪以外で警察に補導された経歴を、非行歴は非行少年として検挙又は補導された経歴を、それぞれ指します。

公務員なのですが、有罪になると職を失ってしまうのですか?

執行猶予でも懲役刑や禁錮刑になってしまうと欠格事由に該当し失職してしまいます。

公務員が失職すると退職金が支給されません。刑事事件で懲役刑が確定する前に辞職した場合でも辞職が認められずに、退職金が支給されなかった場合もあります。
刑事事件の被疑者が公務員の場合は、不起訴処分で済ませてもらい公判請求されないようにすることが大切です。

自首をすると必ず刑が軽くなりますか?

必ずではなく裁判所が刑を軽くすることができるにすぎません。

刑事事件における自首とは、犯罪事実や犯人が誰であるかが発覚する前に、犯人自らが捜査機関に対し自分が罪を犯しましたと申告し処分をゆだねることです。
刑事事件の自首は刑の軽減事由になりますが、自首をしたものに必ず刑を軽減する義務は裁判所になく、軽減するかどうかは裁判所の自由裁量です。

警察に自首したとしても、その前にB警察に犯罪が発覚していれば自首は成立しません。犯罪が発生したことと、誰が犯人であるかが捜査機関に発覚していて、ただ単に犯人の所在だけが不明である指名手配などの場合に警察に出頭しても、自首には当たりません。もっとも情状には良い影響を与えます。

懲役刑と禁錮刑の違いは何ですか?

懲役刑は刑務作業が義務になっていますが、禁錮刑は義務になっていません。

もっとも、何もしない状態で房にいることが苦痛なのか、ほとんどの禁錮刑受刑者は自ら進んで刑務作業をしているようです(請願作業といいます。)。
禁錮刑は現在、交通事故の過失犯に対して言い渡されています。
懲役刑の求刑に対して禁錮刑を選択することはあまりないようです。

刑事事件に関して告訴と告発、被害届の違いは何ですか?

刑事事件における告発は第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めることです。刑事事件における被害届は被害者による犯罪事実の申告で、必ずしも積極的に処罰を求めるわけではありません。刑事事件における告訴とは被害者その他告訴権を有する者が捜査機関に対し犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。

刑事事件における告訴は単なる刑事事件の通報ではなく、処罰を求めているというのがポイントです。検察官は告訴人に対して起訴不起訴の処分について通知をする必要があります。刑事事件の告訴期間は犯人を知った時から6カ月ですが、一定の性犯罪については告訴期間がありません。これは、刑事事件の被害者に短期間で告訴するかどうかの意思表示を要求するのが酷であるという理由からです。

私は無罪なのですが裁判で無罪を証明しなければならないのでしょうか?

刑事事件の被疑者や被告人が自分の無罪を積極的に証明する必要はありません。

有罪判決が確定するまで、刑事事件の被疑者や被告人は無罪の者として扱われます。そして、自分が無罪であることを被告人が証明する責任はなく、被告人が有罪であることを検察官が証明しなければいけません。「疑わしきは被告人の利益に」という大原則は、国家が刑罰権の存在を主張して刑事事件の被告人の人権の制限を求めている以上、当然の前提です。よって検察官が被告人は有罪であることを証明できなかった時には、被告人は無罪です。刑事事件の被告人が自分は無罪であることを証明して初めて無罪になるわけではありません
この考え方は、特に黙秘権を行使するかどうかにおいて重要です。有罪立証は検察官の責任においてすることで、刑事事件の被疑者である自分がそれに協力する必要はないと思えば、黙秘権を行使する意味が理解できます。冤罪事件において捜査官に自白を強要される毎日を送らざるを得ない場合に、自信を持って黙秘を続ける裏付けになりうる原則です。黙秘をすることが何か悪いことであるかのような誤解は、まじめな方に限って持っているようです。自白がないと起訴が難しい刑事事件において堂々と黙秘をすることは、自分の無罪を信じる以上、場合によっては有効な作戦です。

刑事事件発生と捜査のきっかけ

刑事事件の捜査を開始するためには、捜査機関が、犯罪があると思料する(189条2項)ことが必要です。そこで、捜査機関が犯罪ありと思料するに至った原因を捜査の端緒とよびます。いわば刑事事件の捜査が開始されるきっかけのようなものです。

刑事裁判の被疑者が起訴された後は、弁護士が付くことになっています。しかし、その前の捜査段階から弁護士が付いている被疑者は1割程度しかいません。
弁護士を選任できることを知らず、知っていても知り合いに弁護士がいないため誰に依頼していいのか分からない場合や、経済的理由で弁護士を頼めないからです。
刑事事件の捜査段階というのは、被疑者が起訴されるか、あるいは不起訴になるかの重要な段階です。
もし、この際に弁護士がいれば弁護士が被疑者に有利になるよう細部にわたって適切な助言をしてくれるはずです。被害者がいる事件の場合に、被害者と示談することが被疑者にとって大きな利益となります。示談の際には、被疑者を宥恕する旨の嘆願書や被害届取下書若しくは告訴取下書等についても被害者に作成してもらい、これらを担当検事に提出することによって、不起訴処分となったり、処分が軽くなったりすることが考えられます。しかし、示談するためには被害者の連絡先を知る必要があり、被疑者と被害者が元々知り合いであった場合でなければ検事に問い合わせて教えてもらう必要があります。しかし、被害者の連絡先については弁護人に対してしか教えてはくれません(被疑者やその家族等に知らせることでお礼参りがあってはならないので)。示談成立のためにも弁護士の選任は不可欠といえるでしょう。
また、弁護士が付いているということは、捜査機関に対する違法捜査の抑止力になり、警察に自白を強要されたり、誘導されたりすることを防止する効果もあります。