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捜査のきっかけQ&A

刑事事件の任意捜査は断れますか?

断れますが、実際にはあたかも強制捜査かのように断りにくい状況のようです。

刑事事件において任意捜査の「任意」については、本人が自発的に進んで応じた場合に限らず、渋々承知した場合でも、社会通念からみて身体上心理上の強い束縛がない限り、任意の承諾があると認められます。
刑事事件の任意捜査の例としては職務質問があります。職務質問の根拠は警察官職務執行法第2条です。この規定により、異常な行動や、罪を犯しまたは犯そうとしていると疑われる相当な理由のある者、すでに行われた犯罪又は将来の犯罪について知っていると認められる者を、警察官は停止させて質問することができます。所持品検査に協力を求められることもあります。その場での質問が本人に不利又は交通の妨害になる場合は、警察署や交番に同行を求めることもあります。
このときに警察官に許される有形力の行使の限界が刑事事件の裁判例でも問題になります。判例は、被質問者が急に歩き出し逃げるなどの異常な態度を示す時に、停止を求めて追跡すること、停止させるために背後から腕に手をかけること、自動車を発進させるのを防ぐためにエンジンキーを回転させてスイッチを切ることなどについて適法と判断しています。
刑事事件の任意捜査は断れるかどうかというと断れます。しかし、実際には警察官がなかなか離してくれず押し問答になることが多いようです。そのような場合でも、刑事事件の捜査の違法性の有無をチェックするのが弁護士の役割といえます。

現行犯逮捕は令状なしでできますか?

できますし、一般人にもできます。

刑事事件における逮捕には通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3種類があります。逮捕がなされると、特に何らの身体拘束のための特別な手続きをしなくても、逮捕の付随的効果として身体拘束がされます。このうち刑事事件における通常逮捕は、罪を犯したと疑う相当な理由と証拠隠滅、逃亡のおそれがある場合に、逮捕状が裁判官によって発布されるものです。実務上、逮捕状を取りながらもすぐに逮捕状を執行せず、任意出頭をさせてある程度の事情聴取をし、自白をさせた上で逮捕状を執行することが行われています。この理由は、逮捕状を執行すると、刑事手続き上の時間制限がスタートしてしまうので、自白を取った上で逮捕することによって時間を有効に使いたいからと考えられます。
刑事事件における現行犯逮捕は私人でもできます。電車内での痴漢事件や路上でのひったくりにおいて通勤客や通行人に取り押さえられると、私人による現行犯逮捕となることが多いです。
緊急逮捕は一定の重大な犯罪について、罪を犯したと疑うに足りる十分な理由と緊急の必要性という要件を満たした場合に、逮捕後ただちに逮捕状を請求することを条件に認められるものです。

弁解録取書とは何ですか?

被疑者が逮捕された後に、言い分を聞いて記録するものです。

刑事事件の取り調べ手続きとは別のもので、取り調べに入る前のものですから、弁解を聞く前に黙秘権告知をする必要はないとされています。

送致とはどういう意味ですか?

「送検」とマスコミで呼ばれる手続きで、事件の取り扱い責任が警察から検察庁に送られることです。

刑事事件を最終的に起訴するのは検察官にしか権限がないために、警察官は検察官に事件を回します。刑事事件のうち、逮捕されている身柄事件では身柄送検、逮捕されていない在宅事件では書類送検といわれています。刑事事件の被疑者が死亡していても書類送検になります。

勾留とは何のことですか?

勾留は、被疑者や被告人の身柄を拘束する処分です。

  • 逮捕後最大72時間以内に検察官によって請求
  • 期間は最大20日間

刑事事件の被疑者の勾留は逮捕後最大72時間以内に検察官によって請求され、最大20日間です。罪を犯したと疑う相当の理由があって、住居不定や証拠隠滅、逃亡のおそれがあると判断した時に検察官が請求し、裁判官が勾留状を発付して決定します。

刑事事件の被告人の勾留は、起訴後に裁判への出廷を確保するために裁判所が行います。被疑者の勾留と違って検察官が請求するものではありません。被疑者勾留がなされたまま起訴がなされると、被疑者勾留は自動的に被告人勾留に切り替わります。罪を犯したと疑う相当の理由があって、住居不定や証拠隠滅、逃亡のおそれがあるときという要件は被疑者の勾留と同様です。勾留期間は2か月で、1か月ずつ更新することがあります。

平成19年度の逮捕された身柄事件のうち検察官が被疑者勾留を請求した割合は93.4%で、検察官が勾留請求した中で裁判官が却下したのはわずか0.7%です。身柄事件はほぼ確実に勾留請求され、勾留が認められるというのが統計上のデータです。

被疑者勾留は多くの場合、拘置所ではなく、警察署内の留置場での代替収容がなされます。刑事事件の実務上、98%以上の被疑者が留置施設に勾留されます。これは最長20日間という限られた留置期間のうちに捜査を終わらせるために刑事がすぐに被疑者を取り調べるのに便利で、被害者や目撃者との面通しや犯行現場への引き当たりにおいて簡便であるからです。弁護士の接見にとっても、時間制限や差し入れ物品の対応などの点で、留置場の方が拘置所よりも柔軟に対応できることがあります。留置施設と拘置所の整備状況が遅れており、拘置所の新設が予算の限界や周辺住民の反対などにより困難であることも、代替収容が必要不可欠である理由ということです。留置施設を担当する係官は、捜査を行う刑事とは組織上区別されています。警察庁によると具体的には、①留置開始時に、処遇面はすべて留置担当官が行い、捜査員は関与しない旨が被留置者に告知されること、②取調べ室は、壁、扉などで明確に区切られた留置施設の外にあり、捜査員が留置施設に入ることは禁止していること、③取調べなどは通常、午前8時30分から午後5時15分に行われるのが一般的であり、留置で決めた就寝時刻を過ぎてもなお取調べが続いている際には、留置部門から捜査部門に取調べの打切り要請を行うこと、④被留置者は留置施設内で食事をし捜査員が取調べ室などで食事を摂らせることはないこと、などの配慮があるそうです。
病気のための入院や親族の危篤や冠婚葬祭、学生の試験などの場合には、勾留の執行停止が認められます。
また勾留の理由や勾留の必要がなくなった場合には、勾留が取り消されます

接見禁止とは何ですか?

勾留中の被疑者や被告人に対し、弁護士以外の者との面会を禁じたり、書類の受け渡しを禁じたりすることです。

全面的な禁止のほか、個別的な禁止(両親以外の者との面会禁止、書類の授受のみの禁止)があります。弁護士は接見禁止の対象になりませんから、接見禁止が付いていても接見ができます。接見禁止処分に対して弁護士は、準抗告で対抗するほか、一部解除の申し立てによって裁判官の職権発動を促します。実務の運用上、裁判官が検察官の意見を聴くことになっています。
なお逮捕中は弁護士以外との面会はできません。

家族が逮捕・勾留されています。緊急に差し入れをするとしたら、どんなものが一番必要ですか?

衣類と現金です。

差し入れは衣類をまず入れる必要があります。逮捕直後は、寒暖の調整をできる下着や、動きやすいスウェットなどを真っ先に必要としているケースが多いようです。パーカーなどのフードの付いたものが差し入れできず、スウェットのズボンの紐などは抜かれることもあります。衣服にほつれがあると差し入れできない場合もあります。そのほか先のとがったものや生ものは差し入れが禁止されています。自殺防止というのが主な理由のようですが、この運用は警察署によって、また担当官によって多少の温度差があります。厳しいところは本当に厳しいです。下着に小さなリボンが付いている、パンツ全体に伸縮するゴムが入っている、タートルネック状である、靴下の長さがくるぶしより上に来るものであるなどの理由で、差し入れた服がほとんど入らないことがあります。
本の差し入れ冊数は通常、一度に5冊まで。一度に自分の房に持ち込める冊数には制限もあります。雑誌の差し入れの際には、本をとめてあるホチキスがとられます。文庫本の栞のひもや本のカバーは外されます。スポーツ新聞やクロスワードパズルは差し入れできません。
場合によっては現金も必要です。食事は自分で弁当を頼むことが許されており、警察に出入りしている業者の弁当や出前を頼めるようになっています。現金があれば手紙を書く場合に便せんと封筒を購入できます。
歯磨き粉などは中身の成分の確認ができないという理由で入れてもらえないようです。
警察署で留置されている刑事事件の被疑者は、引き当たり捜査のために外に出ていたり、検察庁や裁判所に連れていかれたりしている場合があるので、事前に確認をすると空振りに終わらずに済みます。拘置所に移管されている場合もあるので注意が必要です(東京拘置所の面会時間は月曜日から金曜日の午前8時30分から11時30分までが午前の受付、午後0時30分~4時までが午後の受付です。ちなみに拘置所では差し入れたものが被疑者のもとに届くまでに時間がかかる場合があります。)。

留置場の生活はどうなっていますか?

警察署によって異なります。留置係官の管理状況に微妙な差があるというのが実情です。

>> 留置所内の生活(画像が表示されます)

留置場は都道府県警察本部や警察署に、約1300施設があり、約14000人の被留置者が留置されています。居室の前面は不透明な板で遮断されて、常時監視されることがないように配慮されているそうです。トイレは周囲を壁で囲まれたボックスの中にあります。居室内には、畳又はじゅうたんが敷かれています。留置施設は、警察署の2階以上の階に設置され、通風や採光に十分な配慮がされているとのこと。冷暖房装置は完備しているそうです。布団カバーは定期的に交換され、寝具も定期的に消毒されているそうです。
午前6時半に起床、午前7時半に朝食、午前8時に運動、正午に昼食、午後6時に夕食、午後9時に就寝というのが標準的な日課です。
無料で新聞や備え付けの本(六法全書もあるそうです。)や、差し入れされた本や自分で買った本を読むこともできます。毎日一定の時間にニュース、音楽などのラジオ番組を聴くことも可能です。被留置者は、提供される食事以外に、菓子類や乳製品などを自己負担で購入することができます。
定期健康診断は月2回あり、けがをしたり病気になったりした場合は、病院での治療を公費で受けることができます。自己の負担で特定の医師から特別な治療を受けることも可
能とのことです。
ちり紙、タオル、洗面道具などの日用品は支給されます(実際には買わされるそうです。)。トイレの時は看守に申し出てちり紙をもらい、朝夕の洗面歯磨きは手洗い場で行います。
入浴は週に2回以上で、決められた時間に入ります。
運動は30分程度ですが、狭いスペースで散歩を許される程度です。喫煙者は運動の時間にたばこを吸います。
横になったり、壁に寄り掛かったりすると注意を受けるようです。
男子女子や少年成人、共犯者同士は隔離され、室内にいるときだけでなく、運動などの際も顔を合わせることはないそうです。女性被留置者の身体検査や入浴の立会いは、必ず女性警察官又は女性職員が行います。女性被留置者は、化粧水やクリームなどの化粧品やくし、ブラシを洗面所などで使用することができます。

拘置所の生活はどうなっていますか?

留置場の生活よりも係官の対応は官僚的といわれています。
房には畳が敷かれ、水道もあります。居房には布団、座布団、机、ポット、掃除用具があり、洗面用具などの日用品や書籍、文房具、衣類などを部屋の中に置くことができます。週数回の物品購入では一定の定められた金額以内で菓子や飲み物を購入でき、就寝時間以外ならばいつでも口にできます。新聞も購読できるとのことです。毎日45分程度の運動と、週2、3回の入浴時には外に出られます。

弁護士選任手続はどのようにして行いますか?

刑事事件において起訴後の弁護士選任は、弁護士と連署した書面、すなわち弁護士選任届を裁判所に提出することになっていますが、起訴前の段階では特別の定めはありません。しかし実務上、起訴前であっても、起訴後と同様の選任手続きを踏むことになっています。
捜査段階でされた弁護士の選任は、第一審においても有効です。
被告人に複数の弁護士がつく場合は、主任弁護士を決めなければなりません。被疑者段階では原則として、3名を超える弁護士をつけることはできません。

どのようなことをきっかけに刑事事件の捜査は始まるのですか?

犯罪があると思われるときに、刑事事件の捜査は開始されます(189条2項)。
そして刑事事件の捜査が開始される手がかりを「捜査の端緒」といいます。
具体的には、職務質問、検視、告訴、自首、現行犯逮捕、被害者、第三者の申告、捜査機関の現認などです。

告訴はどんなものですか?

刑事事件における告訴とは被害者その他一定の者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告し起訴を求める意思表示のことです。
告訴できるのは被害者、被害者の法定代理人、被害者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹、死者の親族および子孫、検察官の指定した者です。
似た言葉として告発がありますが、告発は告訴権者および犯人以外の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告しその訴追を求める意思表示です。

告訴と被害届はどう違うのですか?

刑事事件における告訴は、犯罪事実の申告という報告行為と、訴追を求めるという請求行為との複合的な訴訟行為ですが、被害届は犯罪による被害の事実を申告することで、起訴を求める意思がない点で告訴と異なります。被害届には実務上、犯罪別に絶対に書かなくてはいけない要素があります。たとえば傷害罪であれば全治何週間といった要素が必要で、診断書も必要になります。けがをしていたのは確実なのに診断書が取れなかった場合は、暴行罪としてしか処理されません。刑事事件から時間が経つと、医者が診断書を書いてくれない場合もあります。暴行罪で逮捕されたのに、被害者が診断書をとってきた以降は傷害罪として起訴される場合もあります。

告訴がなければ起訴されることはないですか?

親告罪の場合には告訴のあることが訴訟条件になるので、告訴がなければ起訴されることはありません。
しかし、非親告罪であれば、告訴があるか否かが起訴に影響を及ぼすことはなく、検察官の判断で不起訴とならない限り起訴されます。
親告罪は、次の3つの場合に、被害者の意思を尊重した方が刑事政策上相当であるとの理由で設けられているものです。
(1)犯罪の性質上、その犯罪を訴追すると、かえって被害者の名誉を傷つけるおそれがある場合(例えば、強姦罪、名誉棄損罪等)
(2)個人的法益に関する犯罪であって、一般的に被害が軽微であると思われる場合(例えば、器物損壊罪、信書隠匿罪等)
(3)特定の犯罪において、犯人と被害者との間に一定の身分関係がある場合(例えば、親族相盗の場合)

昔の刑事事件について告訴をすると言われて困っています。告訴されるかどうかに時効はないのですか。

刑事事件における告訴にも時効があります。具体的には、犯人を知った日から6ヶ月を経過した時に告訴権が消滅します(235条1項)。
ただし、刑事事件のうち強制わいせつ罪、強姦罪、わいせつ目的等誘拐罪などの性犯罪については例外的に告訴権の消滅がありません。これは、被害者が受けた精神的ショックや犯人との特別の関係等により、短期間では告訴するか否かの意思決定をすることが困難な場合があることに配慮したためです。

親が「娘が怪我をさせられ、犯人はAです。処罰してください」と警察に告訴してきました。被害者である娘は被害当初から犯人を知り、その時は6ヶ月以上前でしたが、親が知ったのは告訴の3日前です。有効な告訴となりますか?

有効な告訴となります。
被害者、被害者の親、それぞれの者が告訴をすることが可能です。刑事事件の告訴期間は別々に計算されますので、被害者には6ヶ月の告訴時効が成立していても、親については、犯人を知ったのが3日前であって告訴時効は成立していないので、有効に告訴することが可能です。

3カ月前の刑事事件についてなので記憶があいまいで、詳細に覚えていません。それでも告訴としても有効に扱ってもらえますか?

告訴する犯罪が特定されていて、犯罪事実は明白でなければなりませんが、必ずしも犯罪の日時・場所・態様につき、逐一、詳細に記載することまでは要求されていません。
また、犯人の名前が不明な場合や、誤記があった場合についても、判例は、被告訴人の氏名を欠き、又はこれを誤記しても、犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求める意思表示があれば、適法かつ有効な告訴となるとしています。

強姦罪について告訴がない状態でも、捜査が行われることはありますか?

強姦罪は親告罪ですので、告訴が公訴の要件となります。
しかし、刑事事件の捜査は事件直後に始めるのでなければ、有力な証拠の確保は困難です。そして、強姦罪の告訴権には消滅時効がないため、刑事事件から何年も経過した後に告訴の要件が整ったとしてその時点から捜査を開始しても何の証拠も得られず犯罪の立証ができないというのが現実でしょう。
そこで、捜査は、公訴提起を前提として行われるものであるから、現在訴訟条件が備わっていないにしても、将来、訴訟条件が備わって、公訴提起の可能性がある場合に限り捜査できると考えられています。
特に強制捜査は、その点の見込みを慎重に検討しなければならず、将来、全く訴訟条件の備わる見込みのない場合は、刑事事件の捜査は行うべきではないといえるでしょう。

妻が強姦されました。妻はショックで寝込んでしまっているので、夫である自分が告訴状を出したいのですが有効ですか?

刑事事件の被害に遭った妻が成人であって、ほかに精神上の傷害がないのであれば、配偶者は告訴権者にはなりません。
強姦に告訴期間の制限はありませんので、被害に遭った本人(妻)が立ち直ったときに、本人の意思で告訴する必要があります。

幼い娘が性的いたずらをされる被害に遭ったとして、父親が告訴してきました。しかし、母親は事を大きくしたくないとの意向で告訴をしたくないと言っています。親権者2人の意見がわかれる場合、父親のした告訴は有効でしょうか?

親権者は、被害者の法定代理人として告訴をすることができます。この場合、各自が独立して告訴をすることができますので、父親1人がした告訴は有効なものになります。