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捜索・押収Q&A

捜査機関が行う押収とはどういう意味ですか?

刑事事件において捜査機関が行う押収には、「差押え」と「領置」があります。
「差押え」とは強制的に物を持っていかれる手続きです。
「領置」とは任意提出をされた物や遺失物をそのまま返却せずに捜査機関が持ち続ける手続きです。
領置については、捜査機関が物を手に入れるプロセスにおいては強制力が働きませんが、いったん物を手に入れた後は提出者や持ち主の意思に反してでも捜査機関が持ち続けることができます。

捜索・差押えは令状がない場合でもできますか?

原則としてできません。必ず令状が必要です。令状の発付には、理由と必要性が要求されています。必要性は、その場所に事件に関連する証拠物が存在する蓋然性が高く、それが破壊されるなどの危険があることから証拠保全のために差し押さえておく必要のあることです。必要性の有無の判断は、犯罪の態様や軽重、対象物の重要性の程度、対象物が滅失損傷されるおそれ、捜索・差押えを受ける者の不利益の大小などの事情を総合判断して決められます。
ただし、逮捕の現場においては、令状なしに捜索差押えができます(220条)
なぜならば、現場における証拠の破壊を防止するための緊急の必要性があり、逮捕の現場には、証拠の存在する蓋然性が高いためです。

捜索差押え令状にはどのようなことが書かれていますか?

刑事事件の捜索・差押え令状には、捜索する場所及び押収する物を明示する必要があります。令状には氏名、罪名、差し押さえるべき物、捜索すべき場所、身体および物などを記載します。このような具体的記載を求めているのは、捜査機関の差押えの権限の範囲を明確にし、一般的探索的捜索差押えを禁止するとともに、令状の執行を受ける者に対し受忍すべき捜索・差押えの範囲を明確にするという目的があります。
刑事訴訟規則155条によると
(1)差し押さえるべき物又は捜索し若しくは検証すべき場所、身体若しくは物
(2)請求者の官公職氏名
(3)被疑者又は被告人の氏名(被疑者又は被告人が法人であるときは、その名称)
(4)罪名及び犯罪事実の要旨
(5)7日を超える有効期限を必要とするときは、その旨及び事由
(6)日出前又は日没後に差押、捜索又は検証をする必要があるときは、その旨及び事由

捜索差押え令状の記載として、捜索場所の記載はどの程度具体的になっていますか?

刑事事件において捜索すべき場所は町名番地で特定します。場所の占有者ないし居住者の氏名の表示は必ずしも必要ではありません。2つ以上の場所を捜索する場合は、場所ごとに令状が必要で、1通の令状に2つ以上の場所を記載することはできません。マンションのように部屋ごとに管理者が異なる場合は、同一マンション内であっても管理者ごとに別個の令状が必要です。

捜索差押え令状の記載として、差押目的物の記載はどの程度具体的になっていますか?

差押えの対象をそれ以外のものと区別できる程度に特定する必要があります。もっとも捜索差押えは初動段階で行われることもあるので、証拠物を具体的に列挙することが難しい実情もあり、「覚せい剤、注射器、秤その他本件に関係ありと思料される一切の証拠」といった概括的な記載も許されることになっています。
このため、背景事実を立証する証拠まで差し押さえられることもあるので、刑事事件において差押えの対象はかなり広くなってしまいます。

捜索差押え令状の記載として、罪名の記載はどの程度具体的になっていますか?

罪名の記載は刑法犯においては殺人、強盗などの刑法の条文で規定する罪名が記載されますが、特別法犯においては公職選挙法違反などのように条文ごとの区別がなされていないこともあります。また、被疑事実の詳細までは記載していません。これは、捜査上の秘密の要請や、第三者に対して執行されることもあるので被疑者のプライバシーを守るという要請があるからであるといわれます。

捜索差押えがなされているときに別の犯罪の証拠が出てきた場合には、その証拠も差し押さえられますか?

当初の捜索差押え令状による差押えはできません。そのために捜査機関がとる方法は次のようなものが考えられます。まず任意提出をさせて領置をする方法です。ところが任意提出を受けられない場合もあります。そのような場合は発見された物が覚せい剤や拳銃のような法禁物であれば所持罪の現行犯として逮捕し、逮捕に伴う無令状差押えをする方法があります。法禁物でなければ新たに令状を取得して差し押さえることになりますが、その間は現場の出入りを禁止することができます。令状を得るまでの間は刑事が職務質問などで対応することになります。

差押えに伴ってビデオ撮影をされましたが、ビデオ撮影は認められているのでしょうか?

捜索差押えの執行方法を記録しその適法性を証明する目的や、差し押さえるべき物の位置関係などを保全する目的でのビデオ撮影は認められると考えられます(最決平2.6.27、東京高判平5.4.14)。

覚せい剤を所持してホテルの部屋に泊まっていたときに、刑事に踏みこまれました。刑事が来たのがわかったので、ドアを開けなかったのですが、刑事はマスターキーを使って部屋に押し入り、令状を見せて捜索差押えを開始し、覚せい剤が押収されました。令状を示したのは部屋に入る前ではなかったのですが、これでも適法な手続きでしょうか?

同様の事例における裁判例で適法な手続きとされています。令状執行の動きが被疑者に察知されると覚せい剤を処分されるおそれがあったとし、令状執行に着手した直後に提示を行ったことが適法とされています。なお、捜索差押令状の呈示に先立って刑事がホテルのドアをマスターキーで開けて入室した行為は、捜索差押えの実効性を確保するために必要な処置とされています。刑事訴訟法では、差押状または捜索状の執行に際して、錠を外し、封を開き、その他必要な処分ができるとされていますが、この必要な処分として認められるというわけです。

令状をしっかりと確認したいのでコピーを要求しましたが断られました。コピーは要求できないのですか?

要求できません。令状の呈示は、内容を理解できると思われる時間は示すことが必要ですが、処分を受ける者が抵抗したり執行を妨害したりする場合に、要求があったからといって令状を渡したり読んで聞かせる必要はないとされています。処分を受ける者からの令状のコピーの交付要求や書き写し、撮影などの要求に応じる必要もないとされています。

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