弁護活動の内容 逮捕された理由 刑事手続き 刑事弁護の基礎知識 事件・逮捕後のよくある質問まとめ 罪名別 刑事訴訟法Q&A 事務所紹介

証拠Q&A

私は無罪なのですが裁判で無罪を証明しなければならないのでしょうか?

刑事事件の被疑者や被告人が自分の無罪を積極的に証明する必要はありません。
被告人が有罪であることを検察官が証明しなければならず、検察官が被告人の有罪を証明できなかった時には、被告人は無罪となります。

自白だけで有罪になりますか?

刑事事件において犯罪を構成する基本的事実、つまり誰かしらの犯人によって罪が犯されたということについて、自白しか証拠がない場合には有罪に出来ません。

検察官が、自白をすれば起訴猶予にするという約束をしたので自白しましたが、起訴されてしまいました。自白は有効ですか?

無効です。刑事事件の捜査において任意にされたものでない疑いのある自白は、証拠にできません。裁判例でも、検察官の不起訴処分にするという約束に基づく自白には任意性がないとされています。

本当は自白していないのに、共犯者が自白したと刑事に嘘をつかれたため自白しました。自白は有効ですか?

無効です。刑事事件の捜査において任意にされたものでない疑いのある自白は、証拠にできません。裁判例でも共犯者が自白したという虚偽の情報を与えて自白させ、その自白を示して共犯者にも自白させた事例で、自白の任意性が否定されました。
ちなみに共犯者は犯罪事実に関することについて被疑者をかばっても、犯罪事実の前後の状況についてはよくしゃべるといわれています。刑事は共犯者からこのような犯罪事実の前後の状況についての情報を被疑者に対してぶつけることによって、被疑者に「そこまでばれているのであれば犯罪事実に関してはさらに詳しく刑事が了解済みなのではないか」という不安を抱かせて自白をさせるようです。

手錠をかけられたままの取り調べで得られた自白は証拠として有効ですか?

無効です。刑事事件の捜査において自白が、任意にされたものでない疑いのある場合には、証拠にできません。裁判例でも、被疑者に手錠をかけたまま取り調べがされた結果得られた自白は任意性に欠けるとされています。

指紋が犯行現場から出ていないにもかかわらず出たと言われたので自白をしました。自白は有効ですか?

無効です。刑事事件において任意にされたものでない疑いのある自白は、証拠にできません。裁判例でも鑑定結果に対する虚偽の情報を伝えて自白させた事案について自白の任意性が否定されました。

警察官の苛烈な取調べに加えて、現場に遺留されたデッキシューズにつき、「今の発達した科学では、人間の分泌物から、その細かく枝分かれした血液型を知ることができ、指紋と同様、同じ分泌物の人間は、1億人に一人しかいないが、その分泌物がおまえのと一致した」等のあざとい許されざる虚言を述べて自白を引き出したもので、その影響下になされた被告人の自白はすべて任意性を肯定できないとした裁判例があります。

孤立させるために代用監獄を用いたり、捜査官から看守を選任したり等、捜査と留置が区別されていないような取調べ方法によって得た自白は証拠として有効ですか?

証拠能力が否定される場合があります。
本来であれば、勾留を執行する検察官が所属する法務省の管轄の拘置所に身柄を移すべきなのですが、実際には警察の留置場が代替施設をして利用されています。その場合でも、捜査と留置を切り離し、留置は中立の立場であるべきです。連続殺人事件について、自白を得るため、代用監獄として寂しい警察署を選び、孤立させ、しかも、捜査員から看守者を選任して被告人の留置業務に当たらせ、被告人の留置場内での言動を逐一捜査上の資料とした等の事実に加えて、連日長期間の厳しい取調べが行われたこと等により、任意性に疑いありとした例があります。
ただし、代用監獄が用いられること自体は現状では通常のこととされており、代用監獄であることのみで自白が証拠能力を失うことはありません。

警察官によって連日にわたる執拗な暴行脅迫によって得られた自白は証拠として有効ですか?

無効です。刑事事件の捜査において警察官によって、身体を壁にぶつけられる、後頭部をたたく、壁に向かって長時間座らせる等により仕方なくなされたような自白は任意性が否定され、このような方法で得られた供述調書は証拠能力が否定されます。
他にも、警察官から数日間にわたり、「こじき」などと罵倒されたうえ、頭部、両肩等の殴打、胸倉をつかんでの足払い、足蹴り、腕をねじあげる、顔面を靴で踏む、首を絞める等の暴行を受け、その結果入れ歯を折られる等した場合に作成された自白調書についても自白の任意性を欠き証拠能力が否定されています。

警察官によって、暴行脅迫を加えられたり、弁護人を依頼したいと言ったにも拘わらず無視して取調べが行われるといった、違法な取調べによって自白が得られました。この警察官による調書に証拠能力が認められないことは問題ないとしても、そのまま恐怖心が続いた状態で検察官の取調べでも自白してしまったり、引き続き弁護士と会うことができないまま検察官の取調べでも自白してしまったりした場合に、検察官の調書について証拠として有効ですか?

警察官の違法な取調べによって、抑圧された心理状態の継続下に行われた検察官の取調べにおける調書についても証拠能力が否定される場合があります。

逮捕状執行前に任意で取調べ中の被疑者に対し、弁護人選任手続及び必要な協議をなすべく訪ねた弁護人との接見を拒否した事案について、憲法34条、刑事訴訟法30条の保障する弁護人依頼権を侵害したとして、被告人の員面調書について証拠能力を有しないとしました。なお、警察での強制的取調べによる心理的影響から脱しきれないままの状況で検察官の取調べがなされたものであるとして、検察官面前調書の一部についてもその任意性も否定しました。
軽微な無銭飲食によって逮捕勾留し、その期間のほとんどを強盗強姦・強盗殺人事件の取調べに流用した結果被告人の自白を得た事案について、不当な見込み捜査、違法な別件逮捕に当たるとして警察官に対する自白調書の任意性を否定したうえ、検察官に対する自白調書と裁判官に対する勾留質問調書の信用性も否定しました。

警察官に無理矢理ポケットに手を突っ込まれて覚せい剤を取り出され逮捕されました。どのような方法で収集された証拠であっても、覚せい剤という法禁物が出たからには証拠能力は認められるのでしょうか?

違法収集証拠として証拠能力が否定される場合があります。
さらに、違法収集証拠から派生して得た証拠についても毒樹の果実として証拠能力が否定される場合があります。
ただし、当該証拠の証拠能力が否定されたからといって必ずしも有罪にならないということとは異なります。他の証拠から有罪立証がされる場合も十分にあります。

【証拠能力を否定した事案】
職務質問に伴う所持品検査により発見された覚せい剤について、所持品検査の必要性も緊急性もないのに、被告人の着衣のポケットにいきなり手を突っ込んで、ポケットの中から覚せい剤を取り出した場合について、証拠能力を否定しました。
深夜、数名の警察官により物理的強制力を加えられてパトカーに乗車させられ、30分近くかけて警察庁舎に連行された後に作成された被告人の尿の任意提出書、鑑定承諾書、鑑定嘱託書、尿の鑑定書、腕部の写真撮影報告書について、証拠能力を否定しました。
ホテル客室内での職務質問中、被告人が暴れながら床面や壁に頭部等を打ちつけたことから、警職法3条の名目でその場で手錠をかけて警察署に連行したことは、事実上の逮捕であって違法であるとして、その過程で差し押さえられた疑いのある注射器について、違法収集証拠として証拠能力を否定しました。
風営法違反事件において、警察官が客の供述調書の一部又は全部をねつ造して逮捕状及び捜索差押許可状を得て執行した際に撮影された写真は違法収集証拠であるとして、その証拠能力を否定しました。
警察官が約3時間30分という異例といえる長時間の職務質問の後に、鉄柵にしがみつく被告人の手指を引き離しパトカーに引き入れて警察署に連行し、4名以上の警察官が在室するなかで1時間余り抵抗する被告人に対し、無令状で腕の注射痕の検分や写真撮影を行い、これらの資料をもとに強制採尿令状を得て被告人に示し、尿の任意提出に応じない場合には同令状を執行すると告知した結果尿を提出したという経緯により得られた尿の鑑定書の証拠能力を否定しました。
警察署への任意同行後、尿の任意提出を求められた被告人が、これを拒否し旅の途中なので帰らせてほしい旨強く要求したにもかかわらず「小便を出したら帰す」と答えて容易に帰そうとせず、約4時間を経過して尿意を告げた被告人にポリ容器に排尿するよう求めて尿を採取した事案について、尿の鑑定書の証拠能力を否定しました。
任意同行を拒否した被告人を、警察官数名が腕などを掴み捜査用自動車に押し込んで警察署に同行させ、尿の任意提出を求めるとともに強制採尿令状の発付を受けるまで約6時間にわたって警察署内に留め置き、強制採尿を実施しようとした直前にやむなく排尿した被告人の尿を採取した事案について、令状に基づかないで身柄を拘束した違法があるほか、その間弁護士に連絡してもらいたいという被告人の申出を実行しなかった弁護人選任権の行使を阻害した等の違法があって、こうした身柄拘束を利用して行われたと見ざるを得ない違法があり、この尿の鑑定書の証拠能力を否定しました。

ページトップへ