弁護活動の内容 逮捕された理由 刑事手続き 刑事弁護の基礎知識 事件・逮捕後のよくある質問まとめ 罪名別 刑事訴訟法Q&A 事務所紹介

交通事故Q&A

交通事故を起こしてしまってから約1年後に検察官から呼び出しがあり、刑事事件として起訴をするといわれました。どうしてこれほど時間がかかってしまったのでしょうか?

交通事故事件を刑事事件として起訴するには、被害者のけがの状況や示談状況が一定程度に成熟する必要があり、このために時間がかかります。刑事裁判にかけられることなどないと思っていたのに、いきなり検察官から呼び出しを受けて起訴をされたという実感を持つ方も多いようです。被害者との示談を保険会社が代理している以上、加害者には被害者との示談の進捗状況が見えにくいこともあって、なおさら事故後の状況は忘れ去られてしまうという側面もあります。

交通事故を起こしてしまいましたが、人身事故ではなく物損事故であった場合に、刑事事件として逮捕されることはありますか?

交通事故で人身事故ではなく、物損事故である場合は、当て逃げなどの道路交通法違反の事件でない限り、刑事事件とはなりません。刑事事件ではないので、逮捕されることはありません。

交通事故を起こしてしまいまいましたが、被害者若しくは被害者の遺族と示談が成立すれば、刑事責任を問われないのでしょうか?

交通事故を起こしてしまいますと、死亡事故や傷害事故の場合には民事上の責任(損害賠償責任)だけではなく、刑事上の責任(刑法・道路交通法上の懲役、禁錮、罰金など)や行政上の責任(道路交通法による反則金、免許の停止・取消など)が発生します。
この3つの責任は目的を異にしますので、どれかひとつの責任を果たしたからといって、他の責任を免れるというものではありません。よって、示談が成立しても、当然に刑事責任が問われなくなる訳ではありません。
もっとも民事上の解決がなされれば、刑事処分において有利な事情にはなります。
一方、刑事裁判は民事裁判と事実認定の方法が異なり、刑事裁判の方がより証明が厳格なため、民事上の損害賠償責任を問われても、刑事事件で有罪とならないケースもありえます。

交通事故を起こしても刑事処分を負わない場合があるのでしょうか?

被疑者を刑事事件として起訴するかどうかの決定は検察官が行います。検察官は送致された捜査上の記録を検討し、補充捜査の必要があれば、被疑者の取り調べ、または被害者や目撃者などの関係者を取り調べた上で、起訴をするかどうか判断します。自動車運転過失致死傷罪を例にとりますと、検察官は取り調べの結果、次にあたるような場合は、不起訴処分を行いますので、交通事故を起こしても必ず刑事処分を負うわけではありません。
①被疑者に過失がないことが明確であるなど、犯罪の成立しないことが明らかな場合(罪とならず)、②過失の有無を認定すべき証拠のないことが明白であるなど、処罰を求めることのできないことが明白な場合(嫌疑なし)、③過失の有無を認定すべき証拠が不十分であるなど、犯罪の証拠不十分で有罪の裁判を得る自身を持てない場合(嫌疑不十分)、④過失は認められるなど犯罪は成立するが、被疑者の性格、年齢、過失の程度、被害の軽重、反省状況、被害の弁償を考慮して、起訴を要しない場合(起訴猶予)

交通事故を起こしてしまった後に、加害者として被害者に対してできることはないでしょうか?

保険会社が示談の代理をしているので、文字通りの民事の示談を進めることはできません。しかし被害者が亡くなっている場合には葬式に出席したりお墓参りをしたり、怪我をされている被害者のためにお見舞いをしたりお見舞い金(一時金)を渡したり出来ることはあります。このことが結果的に被害感情を和らげることにもなりますし、刑事処分が下されるうえでも斟酌されます。とはいっても、なかなか被害者に対して接触するということは難しいものがあります。逆に被害者の感情を逆なですることも考えられますので、具体的な状況においてのベストな判断をしていくしかないでしょう。

相手方が大変怒っており、加害者と会いたくないと言っている場合、傍観しているしかないのでしょうか?

示談を保険会社に任せたとしても、加害者自身も被害者のお墓参りをしたり、お見舞いをしたり、お見舞い金(一時金)を渡すなど出来ることはあります。しかし、一切の接触を断ってきたのであれば無理矢理押し掛けるようなことはすべきではないでしょう。
そうであっても、1回は手紙を出して謝罪すると共に、焼香などに伺うことの許可を求めるなど誠意を示すべきではないでしょうか。

示談以外に何かできることはありますか?

車を売却したり廃車にしたりして二度と運転をしないということを裁判所に対して示すということが考えられます。交通事故をきっかけに交通ボランティアをすることも1つでしょう。

交通事故では保険会社が示談の代行をしているために、加害者は被害者に対して接触をしてはいけないのでしょうか?

交通事故での示談交渉は保険会社が担当します。保険会社が示談交渉を進めることと、示談金額に影響を与えない意味でのお見舞い金を被害者に受け取ってもらうことは、両立することです。
交通事故において起訴される事件で被害者が重傷を負っていたり死亡していたりする場合、被害感情が量刑に与える影響は大きいので、お見舞い金を受け取って寛大な処分を求める旨の書面をもらうことは大切なことです。ただ加害者の多くは、保険会社が示談を代理している以上、被害者に連絡を取っていけないと思っているのが実情のようですし、そう思っても仕方がない背景もあります。起訴されて弁護士を付ける段階で、急に被害者との接触を始める方が大部分かもしれません。

交通事故を起こしてしまいましたが、刑事事件として起訴される確率はどの程度でしょうか?

交通事故といっても、全ての交通事件が起訴(略式命令請求を含む)されるわけではありません。
犯罪白書(平成20年版)によりますと、平成19年の自動車運転過失致死傷罪等の刑事事件は、一般事件(交通事件を除く刑法犯および特別法犯に係わる被疑事件)に比べて、不起訴率が高く(86.7%)、起訴率が低い(9.6%)という特徴があります。さらに、起訴されたものの中では、略式命令請求(罰金)率が高く(8.7%)、公判請求(普通に刑事裁判にかけられること)は0.9%に過ぎませ。起訴率は約10%と低いわけですがその理由は、交通事故の数が多いこと、保険制度の普及で被害者の救済がなされていることなどが原因となっています。
他方、危険運転致死傷罪の刑事事件は、その罪質の重さから、不起訴率が極めて低く(3.9%)、起訴率高い(88.1%)という特徴があります。
また、道路法違反事件の刑事事件についてみますと、一般事件に比べて、やや不起訴率が低く(25.9%)、起訴率が高い(68.9%)という特徴があり、起訴されたとしてもほとんど(67.4%)が略式命令請求です。

刑事事件において交通事故犯罪がほかの犯罪と異なる点はどういうところでしょうか?

交通事故が一瞬の気の緩みで発生することから、他の犯罪に比べ、犯罪とは無縁の方が一瞬にして加害者になってしまうものです。
被害者が死亡してしまった場合は、前科前歴のない方が初犯でいきなり実刑になってしまう可能性もあります。
被害者のいる犯罪ですが、示談は保険会社が代行するために自分の意思で進めることができません。被害感情が激しい被害者の方にとって、保険会社が提示した過失割合に納得が行かない場合には示談がなかなか進まず、そのことが刑事処分に悪影響を与えます。つまり被害者に民事上の過失があることが、かえって加害者にとって不利になってしまうわけです。
気をつけなくてはいけないのが、当初は被害者のけがの状態がそれほど深刻ではないと思われていた場合でも、被害者のけががなかなか完治せずに加療日数が長引くことで、最終的に起訴されてしまうこともあります。

ページトップへ