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交通事故

交通事故

(自動車運転過失致死傷罪 刑法211条2項で7年以下の懲役か禁錮、又は100万円以下の罰金)
(危険運転致死傷罪 刑法208条の2で怪我をさせたときは15年以下の懲役、死亡させたときは1年以上の有期懲役)

交通事故の総論

事故の瞬間までまったく普通の生活をしていた方がいきなり逮捕されて刑事裁判にかけられる、とても恐ろしい犯罪です。

飲酒や高速度などの要素が加わって危険運転致死傷罪に問われれば、刑法208条の2により死亡事故の場合は1年以上の、致傷事故の場合は15年以下のそれぞれ懲役になります。
実際には、危険運転致死罪で起訴されると、ほぼ間違いなく実刑になっているようです。

実刑判決が出された場合には、他の刑法犯による受刑者とは異なる交通刑務所に収容されることになります。交通刑務所は、収容者の自由度が高いとされています。

自動車運転過失致死罪などで禁錮刑に処せられた受刑者は、作業をする義務はありませんが、実際には禁錮受刑者自身が自分で希望して刑務作業を請願作業として行うケースが多いようです。

交通事故の類型

酒酔い/酒気帯び/居眠り運転/前方不注視/無免許運転/信号無視/速度超過/ひき逃げ/身代り犯人

交通事故の近年の傾向

刑事事件の中でもかなりの厳罰化傾向にあります。危険運転致死傷罪の新設など、悪質な刑事事件に対する処罰要請は高まっています

危険運転による死亡事故では、求刑が6年、判決が懲役4年前後となることが多いようです(刑事事件における傷害致死罪の量刑相場とほぼ同じとのことです)。

従来は業務上過失致死の悪質事例の量刑相場が懲役2年前後であったことから、危険運転致死罪の新設により、相場が2倍程度になったとのことです。
傷害事故では、傷害程度が軽く、示談と被害者の宥恕が得られれば執行猶予も十分に考えられます。

交通事故の量刑に影響を及ぼす事情

交通事故のような刑事事件においては被疑者に対する被害弁償の有無が極めて大きく影響します。保険会社からの示談金とは別に、被告人からの見舞金として被害者に対して金銭を支払っていると、被告人に有利な事情として考慮されます。

過失の程度や酒気帯び、スピード違反、交通違反歴などの要素は刑事事件における量刑を決める上で重視されます。特にひき逃げなどの悪質態様を伴う場合は刑事事件における量刑に大きく影響し、死亡事故では実刑になる場合が多く、傷害事故では事情により執行猶予もありうるという傾向のようです。

同種前科の有無なども刑事事件における量刑に影響します。

墓参りをしているかなど、反省具合も考慮されます(とはいえ、被害感情が強い場合は、お墓の場所すら教えてもらえない場合もあります。死亡事故における被疑者の葬式への参列は、した場合には遺族からの追及に遭い、しない場合には反省が足りないとして非難されてしまうというジレンマがあります。)。

近年の厳罰化傾向と被害者対応の必要性について以下に補足します。

保険会社が示談を代行し刑事裁判までに示談が成立しないケースがほとんどですが、対人無制限の任意保険に加入しており十分な示談金が被害者に支払われる見込みである場合は、従来は、被告人に有利な事情として考慮されていました。しかし近年は、対人無制限の任意保険への加入が一般的になり、むしろ対人無制限の任意保険に加入していないことが被告人に不利な量刑事情になりつつあります。示談を保険会社任せにして被疑者自身は謝罪や一時金の支払いなどをしようともしない場合は被疑者感情を逆なでし、特に結果が重大な場合は刑事事件における量刑上、非常に不利になります。死亡事故で被疑者が1名の場合は従来、赤信号無視や酒酔い、ひき逃げなどの悪質な態様でない限り、執行猶予が一般的であったという指摘もありますが、近年は厳罰化が進み、死亡事故や重い傷害が出たケースは、状況によっては初犯でも実刑の可能性があります。事故の状況は千差万別ですし、運転者の属性なども影響しますので一般化はできませんが、

①結果が重大で運転態様が悪質の場合、示談が成立せず被害者の宥怒(許すという意思を示してもらうこと)もなければ、実刑が相場であり、一方で、示談や被害者の宥怒が得られれば執行猶予も十分にあり得ます。

②結果が重大だが運転態様は悪質でない場合も、示談が成立せず被害者の宥怒もなければ実刑が相場になりつつあり、一方で、示談や被疑者の宥怒が得られれば執行猶予が相場になっています。

結果が重大な場合は、運転態様の悪質性にかかわらず示談の成否と被害者の宥怒の有無が極めて重要になっているようです。

交通事故の取調べの例

交通事故では現場に残されスリップ痕や擦過痕、車両の破損状況、衝突後の進行状況などから、事故直前の車両の速度や進行状況を推定します。スリップ痕の長さに制動摩擦係数をかけて公式に当てはめることで、車両の速度を推定します。制動摩擦係数は路面の材質や乾燥状況、タイヤの摩耗度合いによって異なると言われます。
検察官は交通事故を起こした被疑者を必ずしも起訴するわけではありません。被疑者に過失がない場合や、過失の有無を認定できない場合、過失の認定が出来るときでも被疑者の性格、年齢、過失の程度、被害の軽重、被害の弁償、被疑者の反省状況や前科の有無等を検討のうえ弁護士が交渉して不起訴処分となる場合もあります。

交通事故の示談相場

被害者は加害者の保険会社に対して別途損害賠償請求をします。
このため、被害者との間で正式な示談を成立させることはできません。
しかし、謝罪の意思を示す方法としてお見舞金という形で被害者へ渡すことはできます。
ただし、加害者側との一切の接触を拒絶する被害者や遺族も多く、お見舞金や謝罪文を受け取ってもらえない場合もあります。
お見舞金を受け取ってもらえない場合には、弁護士としては交通贖罪寄付をすることを検討します。

弁護士による交通事故の弁護方針

近年極めて厳罰化が進んでおり、初犯でも実刑が十分に考えられる犯罪になりました。
保険会社が間に入っている場合は、被害者が保険会社と損害賠償交渉をするため正式な示談をすることはできない場合もあります。弁護士としてはお見舞金や、交通贖罪寄付など、謝意と反省を表明する手段を考えていくことになります。
車を運転する人なら誰もが起こしうる犯罪であるため、誠意を示すことで、被害者や遺族によっては寛大な処分を望む旨の嘆願書を作成してもらえることもあります。

事故を起こした被疑者が公務員である場合には、失職も十分考えられます。職場の同僚や上司から、被疑者はまじめな人間で失職しては困るといった内容の嘆願書を作成してもらい、弁護士から検察官や裁判所に提出することもあります。

被疑者が被害者と直に接触をすることは、保険会社が間に入っていることがほとんどなので難しい面がありますが、それを口実に被害者対応を放置しているととられると、一時金の支払いや宥恕を得る活動において支障になりかねません。弁護士を通じて早期に適切な対応をすることが重要です。

否認事件では過失の認定に影響する現場の状況も弁護士が詳細に検討します。

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